ものもらい
「ものもらい」は、まぶたの一部が赤く腫れたり、痛みを伴うことが多い目の病気です。まぶたにある「まつ毛の根元」や「油を分泌する腺」が細菌に感染することが原因で起こり、正式には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」や「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」と呼ばれます。
ものもらいは誰でも発症する可能性があり、特に10代や若い成人によく見られます。
多くは軽い症状で、適切な治療によって早めに治すことができますが、放置すると悪化して痛みが強くなることもあります。
このページでは、ものもらいの症状や原因、種類、治療法についてわかりやすくご説明します。
ものもらいの症状について
ものもらいが発生すると、以下のような症状がみられます。
まぶたが赤く腫れる
初期にはまぶたの一部が少し赤くなり、違和感を感じる程度ですが、腫れが進むと赤みが増して痛みを伴うことがあります。
特にまぶたの縁やまつ毛の根元が腫れる場合が多いです。
しこりやしぼりができる
腫れた部分が硬くなり、小さなしこりやしぼりができることがあります。
触ると痛みを感じたり、しこりが大きくなることもあります。
目のかゆみや違和感
腫れた部分がかゆく感じたり、目を開け閉めするときに異物感を感じる場合もあります。
まつ毛の根元付近にできた場合、まばたきをするたびに違和感を感じることが多いです。
膿が出ることもある
感染が進行すると、腫れた部分に膿がたまり、自然に破れて膿が出る場合もあります。
膿が出ると腫れや痛みが和らぐことがありますが、手で触れないようにしましょう。
これらの症状は、症状が軽いうちに早めに治療することで早期改善が期待できます。
ものもらいの原因について
ものもらいの原因は、まぶたやまつ毛の根元に存在する「細菌」による感染です。
まぶたには「汗腺」や「脂腺(皮脂を分泌する腺)」があり、これらが細菌で感染すると腫れや炎症が生じます。
特に、次のような原因やリスク要因があります。
手や目を清潔に保たないこと
手で目を触ったり、まぶたをこすったりすることで細菌がまぶたに移り、感染が起こりやすくなります。
外出後や手が汚れているときに目をこするのは避けましょう。
目の疲れやストレス
目の疲れがたまると免疫力が低下し、細菌に感染しやすくなります。
コンタクトレンズの長時間使用や、スマートフォンの画面を見続けることが原因となることもあります。
脂っこい食事や不規則な生活
脂っこい食事や睡眠不足など、不規則な生活が続くと、まぶたにある脂腺が詰まりやすくなり、ものもらいの原因になることがあります。
日常の生活習慣も関係しているため、バランスの取れた食生活と規則的な睡眠が大切です。
ものもらいの病気の種類について
ものもらいには、原因や発生する部位に応じていくつかの種類があります。主なものを以下にご紹介します。
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
まつ毛の根元にある「汗腺」や「脂腺」に細菌が感染し、炎症を引き起こすものもらいです。
一般的には、急に赤く腫れて痛みを伴うことが多く、まぶたの縁に小さな膿がたまることがあります。
通常は数日から1週間程度で治ることが多いです。
霰粒腫(さんりゅうしゅ)
まぶたの脂腺にある「マイボーム腺」という部分が詰まることによってできるものもらいです。
霰粒腫は細菌感染が原因ではないため、赤く腫れることは少なく、しこりができても痛みを感じにくい場合が多いです。
放置していると、しこりが大きくなることがあり、外科的に取り除く場合もあります。
麦粒腫は感染が原因で炎症が起こるのに対して、霰粒腫は脂腺の詰まりによるため、対処法や治療法が異なることがあります。
どちらのタイプも自己判断せず、早めに眼科で診断を受けることが大切です。
ものもらいの治療法
ものもらいは多くの場合、軽症であれば自然に治ることもありますが、症状が悪化することもあります。
以下に一般的な治療法を紹介します。
抗生物質の点眼薬・軟膏
細菌感染による炎症を抑えるために、抗生物質を含む点眼薬や軟膏を使用することが多いです。
医師の指示に従って定期的に使用することで、早期に症状を改善させます。
温めるケア
まぶたを温めると血行が良くなり、腫れやしこりが改善されることがあります。
蒸しタオルなどでまぶたを優しく温める「温罨法(おんあんぽう)」を行うと、特に霰粒腫には効果的です。
ただし、症状が悪化している場合は眼科医の指示を受けて行いましょう。
切開治療
膿がたまってしまった場合や、しこりが大きくなって自然に治らない場合には、眼科で切開して膿を出す処置を行うことがあります。
これは短時間で終わる治療ですが、医師による処置が必要です。
生活習慣の改善
ものもらいの予防には、生活習慣の見直しも効果的です。手洗いや顔を清潔に保つこと、目に疲れをためないようにすることが予防に繋がります。
特にコンタクトレンズを使用する場合は清潔に保ち、レンズを装着する前後にしっかり手を洗うように心がけましょう。
最後に
ものもらいは身近な目の病気ですが、自己判断で放置せず、適切なケアや治療を行うことが重要です。
特に、まぶたが赤く腫れて痛みがある場合や、症状が長引く場合には、眼科を受診することをお勧めします。
当院では、ものもらいの診断・治療を行っておりますので、気になる症状があればお気軽にご相談ください。